プログラム概要 PROGRAM

COMSOL Multiphysics® News in Version 6.4

The release of COMSOL Multiphysics® version 6.4 brings new and updated functionality for even more efficient modeling and faster results. Join us for this keynote talk to get a first look at the upcoming release. The new version includes widely expanded GPU and Chatbot functionality, new types of analysis for highly dynamic phenomena, and tools that broaden the scope of particle- and material-based simulations.

共同著作者
Jacob Ystrom（COMSOL社）

経験に基づく直感的ＭＥＭＳ設計から、
解析に基づく合理的ＭＥＭＳ設計へ

ＭＥＭＳ（Microelectromechanical Systems）は力学、電気工学、材料力学、半導体プロセス等に関わる複合技術であるがゆえに、そのデバイス設計には各分野に及ぶ総合的な知見が必要である。「総合的」とは言うものの実際には勘と経験に基づくひらめきが先行し、悪く言えば試行錯誤によるまぐれ当たりに依るところが大きい。そこで本講演では、根拠のある設計指針を得るためにシミュレーションを活用したＭＥＭＳ研究開発例を紹介する。

みずほリサーチ&テクノロジーズのCOMSOL Multiphysics®を用いた解析サービス

CO2からメタンを生成するメタネーションの解析に必要な化学反応速度パラメータをCOMSOL Multiphysics®の最適化計算機能を用いて同定した解析事例を紹介します。また、当社がご提供するCOMSOL Multiphysics®の受託解析やモデル開発についてのサービスを紹介します。

共同著作者
宮本 裕平（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）
眞崎 浩一（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）
賀須井 直規（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）
中村 幸太郎（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）

実験結果自動取得によるマルチフィジックスシミュレーションの研究現場での活用

みなも株式会社では、実験とシミュレーションを連携させ、研究開発を効率化するお手伝いをしています。今回は、実験で得た測定信号を直接シミュレーションに反映させ、実験結果を自動で解析を行うシステムの構築事例を紹介します。このシステムは、研究活動をより迅速に進めるための強力なツールとなります。

共同著作者
髙橋 隼永（みなも株式会社）

クラウドHPCによるCOMSOLのスケーラビリティ拡張

本講演では、クラウドHPCを活用したCOMSOL解析のスケーラビリティ拡張について紹介します。パラメトリックスタディやDOE、最適化アルゴリズムと組み合わせ、大量のケースを並列実行することで計算時間を大幅に短縮可能です。これにより計算環境の制約上困難だった設計探索や高度なマルチフィジックス解析を効率的に実現します。

COMSOL Multiphysics®を用いた解析コンサルティングサービスのご紹介

ASTOMは、CAE技術の研究開発を行っている理研発ベンチャー企業です。ASTOMでは、設立以来培って来たCAEに関する高度な専門知識をベースに提供しているCOMSOL Multiphysics®を用いた受託解析、モデル開発、導入コンサルティングなどの解析コンサルティングサービスを提供しております。本ランチョンセミナーでは、COMSOLのアプリケーションビルダーを用いたカスタムシミュレーションアプリの開発事例をご紹介します。

メカニカルシールの表面テクスチャリングを対象としたトポロジー最適化

各種回転機械の軸封部に使用されるメカニカルシールへ表面テクスチャリングを付与することで、しゅう動面間に形成される流体膜トルク低減と、漏れた流体を回収する機構による高密封性の両立が実現可能である。ただし作動条件が適用分野によって大きく異なるため、最適設計が必須である。従来では遺伝的アルゴリズムによるパラメータ最適化を適用してきた。本講演ではさらなる高性能化を目的とし、表面テクスチャリング形状をトポロジー最適化により設計し、実製品に加工した後に試験検証を行ったので報告する。

共同著作者
矢地 謙太郎（大阪大学）

COMSOL Multiphysics®の光線光学及び波動光学モジュールの紹介

COMSOL Multiphysics®を使って現実的な光学の問題を解析することに興味がある方にお勧めのコースです。 COMSOL Multiphysics®の光線光学及び波動光学モジュールのご紹介をし、それぞれの数学的な基礎、特徴、機能などについて説明をいたします。

COMSOLを用いた塑性加工や軸受けなどのトライボロジーシミュレーション

本研究では、COMSOL Multiphysics®を用いて塑性加工および軸受要素設計におけるトライボロジー挙動を解析した。塑性加工分野では、リング圧縮試験に基づき表面積拡大率を指標とした境界潤滑下の摩擦係数モデリングを構築し、FEM解析に実装することで潤滑油の摩擦低減効果の定量化に成功した。軸受解析では固体接触と流体潤滑挙動の連成解析により、表面粗さやうねりが摩擦係数に与える影響を数値的に評価した。

数値計算による化学・材料プロセスのマイクロ波加熱炉最適化

持続可能社会に向けて、化学・材料分野の熱源を電化する機運が加速している。これは、化学・材料プロセスの火力を、従来の化石燃料の燃焼から再生可能由来の電気加熱へ転換することで、炭酸ガス排出抑制する構想である。この有力な火力候補であるマイクロ波加熱炉は、被加熱物質に応じてその形状が異なる。本講演では、実際の加熱炉を被加熱物質へ最適化するための計算科学的手法について、議論・紹介する。

トポロジー最適化による冷却水管設計と自動CAD化の統合

本講演では、金型内部の冷却性能向上を目的としたトポロジー最適化の応用事例を紹介する。提案手法では製造性に関する制約を考慮した上で熱流体解析に基づき最適流路を自動生成し、均一冷却とサイクル短縮を両立する。さらに最適化結果を自動CAD化する仕組みを構築し、CAEから製造へのシームレスな統合を実現する。本技術は冷却性能向上と設計効率化を同時に可能とする次世代金型設計の基盤となることが期待される。

COMSOLを用いた金属セミシェル構造の動的プラズモニックカラーの数値解析

プラズモニックカラーは、金属ナノ構造における局在表面プラズモン共鳴を利用した構造色であり、顔料に依存せず高耐久かつ微細スケールでの発色制御が可能という特徴をもつ。特にAgをシェル金属とする金属セミシェル構造を用いることで、光熱変形によって共鳴条件を変化させ、発色を動的に制御することができる。本発表では、このAgセミシェル構造を対象にCOMSOL Multiphysics®を用いて光学応答を計算し、被覆角度や膜厚など設計パラメータが反射スペクトルと色調に与える影響を解析した結果について報告する。

ねじ加工工具「GREEN TAP」開発における流体解析

切削加工では工具の冷却のためにクーラントをかけて、効率よく排熱する必要がある。ねじ加工工具のタップの新製品「GREEN TAP」開発において、COMSOLを利用した伝熱と流体の解析事例を紹介する。COMSOLを用いて導き出した新しい工具形状によって、工具の冷却性、潤滑性を向上することができ、工具寿命を延ばすとともに高い加工精度を実現した。

骨格-膜構造型メタマテリアルを用いた位相制御による音響放射制御 - 理論・実測・シミュレーションの比較

従来の遮音技術は質量・厚みの制約や周波数制御の困難さに直面している。本研究は、構造内における複数の振動領域の位相関係を設計することで音響放射を制御し、特定周波数領域で放射効率を低下させる手法を提案する。その実装例として骨格‐膜構造を提示し、理論解析・実測・COMSOL Multiphysics®を用いたシミュレーションにより遮音特性を検証した結果を報告する。

アプリケーションビルダーを用いたトポロジー最適化の実装

アプリケーションビルダーを用いたレベルセット法に基づくトポロジー最適化の実装と、そのデモンストレーションを紹介する。

リチウムイオン電池の熱シミュレーション技術

現在、電気自動車やハイブリッド自動車において、動力源である二次電池としては、高エネルギー密度の観点からリチウムイオン電池が最も広く応用されている。しかし、電池の高い安全性を確保する技術の確立は依然として重要な課題である。本講演では、小規模な集中パラメータセットに基づくCOMSOL Multiphysics®の集中電池モデルを用いて、大型角形リチウムイオン電池の熱分析からバッテリーパックにおける熱暴走現象のシミュレーションまでを対象とした、リチウムイオン電池の熱シミュレーション技術について報告する。

積層型リチウムイオン電池における電極間の容量アンバランスによる性能低下とその対処法

リチウムイオン電池の性能低下には、電極活物質の初期の劣化から始まる電極間での容量のアンバランスが要因となっている。この性能低下の防止策にとして、穴あき電極（貫通穴化電極）を用いることにより電池内でリチウムイオンのアンバランスを緩和することで解決できると考えた。COMSOLを用いて容量のアンバランスを解消する電極の構造の最適化を行った結果を紹介する。

走査電解加工の電流域制御法の研究開発におけるCOMSOLの応用

電解加工は、仕上げ面の品質が高く、工具摩耗がなく、残留応力がないことから、難削材の形状加工において最も有望な技術の一つとなっている。しかし、迷走腐食に起因する加工精度の低さが、産業界におけるさらなる応用拡大の最大のネックとなっている。加工電流領域の局所化は、電解加工の精度を向上させる究極の手段である。本講演では、最新の取り組みも含め、走査電解加工における電流域の各種制御技術の原理と特徴、COMSOLによる解析や実験に検証について紹介する。

共同著作者
張 清栄（東京農工大学）

COMSOL Multiphysics®を用いた圧電MEMSデバイスの解析

圧電MEMSデバイス設計では、作製工程の影響を無視すると設計値と実測値に大きな乖離が生じる。本講演では、圧電膜の膜応力によりアクチュエータ部の実効剛性が増大して変位量が設計より大幅に低下した事例を紹介し、COMSOL Multiphysics®を用いた連成解析による、より正確な設計手法を示す。

空気を通して音を通さない通気音響メタマテリアルの設計と実証

軽量な構造による低周波音の遮音は長年の課題であった。本研究では、薄膜の共振を利用して音を閉じ込める膜型音響メタマテリアルに貫通穴を設け、透過音の位相を制御して遮音する新たな構造を提案する。COMSOLによる音響-振動連成シミュレーションと音響計測により、この穴あき膜型音響メタマテリアル構造が数百Hzの周波数帯で高い遮音性能を発揮し、ノイズキャンセリングのように音を打ち消す原理を実証した。本講演では設計法から評価結果までを報告する。

全固体電池を対象としたトポロジー最適化

全固体電池は高エネルギー密度の実現可能性から従来の液系電池に代わる次世代電池として注目されている。本研究では、電池内部の複合材料領域に着目し、放電性能を高める不均一な材料分布を導出可能なトポロジー最適化法を構築した。発表では、COMSOLの電気化学モジュールを用いた手法の概要と実装に必要な機能を紹介する。

共同著作者
古田 幸三（京都大学）
岸本 将史（京都大学）
岩井 裕（京都大学）
泉井 一浩（京都大学）
西脇 眞二（京都大学）

撹拌混合アプリ：ミキシングコンシェルジュ™ 事業構想および特徴

ミキシング工程は、多種多様なものつくりの現場において、ほとんどの製造工程に存在する重要なプロセスである。ミキシング等の流体現象を解析できるシミュレーションソフトは世の中に数多く存在するが、それらを使いこなすにはCAEに関する基礎知識を身に着け、煩雑な設定に習熟する必要がある。そこで我々はCOMSOL Compiler™を用いて、解析の専門知識がなくても直感的に使用できる「撹拌混合特化型シミュレーションアプリ：ミキシングコンシェルジュ™」を（株）先端力学シミュレーション研究所と共同開発し、撹拌混合工程の製造現場の課題解決を支援している。本講演では、事業構想および本アプリの機能とUI、COMSOLの計算結果の妥当性について紹介する。

大変位・小型・高速圧電MEMSアクチュエータ技術の開発

AV/VRやLiDARなどレーザー掃引技術は広く利用されている。特に、AR/VR用途ではレーザー掃引システムは従来以上の小型化が求められており、MEMSミラー、特に圧電薄膜アクチュエータを利用した圧電MEMSミラーは超小型レーザー掃引システムを実現できる手法としてさらに注目を浴びている。従来の小型MEMSミラーにおいても高速化・高角度化は研究されているが、利用可能面積を効率よくアクチュエータに使うことができず、小型化による性能劣化を起こしていた。本発表では、圧電アクチュエータとミラーの連成振動に着目し、大変位・小型・高速動作が可能となったMEMSミラーについて述べる。

Solver News in COMSOL Multiphysics® Version 6.4.

COMSOL Version 6.4 has to a larger extent than before support for explicit time-stepping, in the new Granular Flow Module and for Explicit Dynamics formulations. Other exciting new additions are, a sparse direct solver for NVIDIA GPUs called cuDSS and a mode following method for parametric eigenfrequency problems. I will discuss how these technologies can impact your modeling experience.

冷却流路設計に向けたMMC／均質化を用いた熱流体トポロジー最適化法の開発

本講演では、Moving Morphable Components（MMC）または均質化を用いた熱流体トポロジー最適化法の開発を紹介する。冷却流路設計へのトポロジー最適化の応用では、得られる最適化形状の製造性や高レイノルズ数流れへの適用などが課題となる。これらの課題を克服するためにMMC／均質化を導入し、新たな設計手法の可能性を検討する。

共同著作者
廣谷 俊輔（Nature Architects株式会社）
古澤 善克（Nature Architects株式会社）
矢地 謙太郎（大阪大学）

COMSOL利用事始め：ぶつかる課題とその解決法の事例研究

いろいろな事例と情報を集め、より高度で効率的なCOMSOL Multiphysics® 利用法を探りたい。東大岸本研究室では、マイクロ波利用化学研究を行うためにCOMSOL Multiphysics® を電磁波と伝熱、化学反応の連成シミュレーションを行う研究ツールとして導入した。岸本先生ならびに学生の皆さんが、その事始めにおいてどのような課題に遭遇し、どのように解決したか、具体的例をそれぞれにお話していただきます。後半では、マルチフィジックス研究会が行うCOMSOL利用お困りごとアンケートの結果を会場の皆さまと共有し、誰もが遭遇する共通課題をとりまとめ、今後、マルチフィジックス研究会が行ってゆく活動の方向について意見交換をしたいと考えています。

パネリスト
岸本 史直（東京大学 講師）、and more

COMSOLを用いた100GHz帯NRD-導波管変換ホーンの開発

100GHz帯NRDガイド回路の評価に必須となるNRDガイド-方形導波管変換ホーンの設計をCOMSOL Multiphysics®を用いて行った。その設計結果を基づいて試作を行い、評価結果を通じて、設計手法の有効性を確認した。

共同著作者
星野 友綺（宇都宮大学）

L-TRiSE株式会社のご紹介

L-TRiSE株式会社では、COMSOL Multiphysics®を主とした、技術支援、導入支援を主業務として事業展開しております。
具体的には、
 ・CAE導入支援とセミナー開催
 ・COMSOL Multiphysics®を用いたモデリング支援
 ・COMSOL Multiphysics®を用いたアプリケーション（exe files）の作成支援
などとなります。
代表取締役社長 和田はマイクロ波加熱を得意としており、化学反応系に対して非常に深い知識を有しております。
また、和田の事業コンセプトである「CAE、シミュレーションの最適化利用により、実証検証試験を削減する」が、母校の東工大の審査において認められ、東工大発ベンチャーの称号を得ております。

ねじ加工工具「GREEN TAP」開発における流体解析

切削加工では工具の冷却のためにクーラントをかけて、効率よく排熱する必要がある。ねじ加工工具のタップの新製品「GREEN TAP」開発において、COMSOLを利用した伝熱と流体の解析事例を紹介する。COMSOLを用いて導き出した新しい工具形状によって、工具の冷却性、潤滑性を向上することができ、工具寿命を延ばすとともに高い加工精度を実現した。

マイクロ波加熱に基づく酸化物製造装置の検討

AIにより電力需要が増大する中、GX（グリーントランスフォーメーション）政策の中で原子力発電のさらなる活用が求められている。原子炉で生産されたPuを燃料として活用する中で、多重のリサイクルにより、長寿命放射性廃棄物マイナーアクチノイドが生成し、この核破砕による処理が開始されるまでの100年程度安定に保管する方向が検討されている。このプロセスで、ウランとマイナーアクチノイドの溶液から安定に酸化物粒子を製造するため流通式のマイクロ波加熱法を実験とCOMSOLの計算により進めている。

共同著作者
針貝 美樹（京都大学）
吉永 尚生（京都大学）
梶 雅志（京都大学）
島田 隆（京都大学）

バナジウムレドックスフロー電池の充放電曲線とその応用

2つの COMSOL Java モデルを融合し、VRFB の電極・膜の物理に外部タンク循環（0D混合タンク）を組み合わせた、時間依存の充放電シミュレーターを構築する。

共同著作者
山村 朝雄（京都大学）

液体金属を用いる核融合炉ブランケットの熱流体-電磁気-構造解析に向けた取り組み

高温熱輸送と燃料生成を両立できることから、液体金属の適用が核融合炉ブランケットの開発で有望視されている。本発表では、強磁場・高熱負荷・中性子照射にさらされるブランケットの熱流体・電磁気・構造の連成解析をCOMSOLにより実施し、冷却性能・MHD影響・機械的健全性を考慮した実設計に向けた取り組みを紹介する。

電磁場開領域問題におけるケルビン変換

電磁場問題に対する「ケルビン変換」の拡張 を提案し、外場中にも物体が存在する場合にも扱えるようにする。
ケルビン変換は、無限空間を有限空間へ写像する座標変換であり、マクスウェル方程式に対する共形変換として機能する。
本研究では、微分幾何学の概念を適用し、外部領域における材料定数の計量および空間依存性を導出する。
本提案手法の妥当性をCOMSOLによる数値計算例を用いて検証した。

共同著作者
矢野 隆晃（近畿大学 理工学部 電気電子通信工学科 ＣＡＥ－ＡＩ研究室 学部4年生）

高信頼SiCパワーデバイス実現に向けた銀焼結Cuクリップ構造の熱応力解析

SiCパワーデバイスの高信頼化に向け、銀焼結接合とCuクリップ実装構造の熱応力解析を行った。COMSOLによるシミュレーションにより、クリップ厚が応力分布に及ぼす影響と、銀焼結層端部での引張応力発生を明らかにした。

共同著作者
青木 正明（慶應義塾大学）
村上 大斗（慶應義塾大学）
松野 琳太郎（慶應義塾大学）

炭素繊維単繊維の三点曲げ試験のFEM解析

炭素繊維は繊維軸方向とそれ以外の方向とで高い異方性を有する材料である。COMSOL Multiphysics®では従前からそれらの違いを考慮した解析が容易に実施できた。ここでは、そのなかでも著しく高い異方性を有する高弾性率ピッチ系炭素繊維を対象として、その異方性の影響が明確に現れる単繊維の三点曲げ試験について、各方向の異方性を考慮したFEM解析を行い、得られる曲げ弾性率のスパン長依存性について検討した結果を報告する。

防食コーティング鋼板における局所減肉のパルス渦電流試験シミュレーション

老朽化が進むプラント設備等では、保安・保全を効率的に行うための非破壊検査の重要性が高まっている。パルス渦電流試験は、防食コーティングを除去せずに腐食減肉を検出できる手法として注目されている。本研究では、数値シミュレーションにより局所減肉部におけるパルス励磁磁界と渦電流の相互作用を解析し、減肉率及びリフトオフ条件の違いによる信号挙動を評価することで、パルス渦電流試験の局所減肉検出への適用可能性を検討した。

共同著作者
北川 大介（鈴鹿工業高等専門学校）
板谷 年也（鈴鹿工業高等専門学校）

タイミングデバイスの高性能化に向けたフォノニック結晶とそのCAE解析手法

高速かつ安定なデータ伝送を実現するには、水晶発振器に代表されるタイミングデバイスの性能とりわけQ値（品質係数）の更なる向上が鍵となるが、その手段として波動干渉や量子的効果を利用したフォノニック結晶（PnC）の適用が提案され注目されている。ここでは同デバイスに適用されるPnCの技術動向と、PnCのFEM解析の基礎的な事例を通して技術的な課題抽出と解析手法について紹介する。

共同著作者
古畑 誠（セイコーエプソン株式会社 分析ＣＡＥセンター所属）

COMSOL Multiphysics®を用いた3Dシミュレーションによる全固体電池性能の活物質依存性検討

全固体電池の高速充放電化を目的として、COMSOL Multiphysics®を用いた3Dシミュレーションを行い、金属酸化物系正極活物質の種類が電池性能に与える影響を検討した。3Dシミュレーションには、X線CTにより得られた実電極構造を使用した。LCO、NCM523、NCM811の3種類の活物質を対象としてシミュレーションと実験を行い、いずれの活物質を用いる場合でも、シミュレーション結果が実験結果と概ね一致することを確認した。また、Li拡散性が高いLCOでは、高C-rate域において高容量が得られることが明らかとなった。

共同著作者
Lee Kiyoung（東京科学大学）
柳 和明（出光興産株式会社）
上澤 明央（出光興産株式会社）
嵐 俊美（出光興産株式会社）

熱電変換デバイスシミュレーションと農業応用への検討

持続可能な農業の実現に向け、未利用エネルギーで駆動するセンサーや機器の導入が期待されている。
本研究では、環境中の温度差から電気を生み出す熱電変換技術に注目し、COMSOLを用いた電気特性と熱特性のマルチフィジックスシミュレーションを利用したデバイス設計と作製、性能評価をおこなった。また、マーケティング5.0の考え方を取り入れ、農家の声を反映させながら社会に広げていく仕組みについても議論する。

共同著作者
柳澤 亮人（東京理科大学 助教）
野村 政宏（東京大学 教授）
澤野 憲太郎（東京都市大学 教授）
小田島 綾華（東京都市大学 博士二年）

金属原子層堆積の初期核発生過程その場計測のための分光反射率シミュレーション

半導体デバイスの配線工程には、微細化しても低抵抗で断線しにくい金属薄膜を形成する製膜技術が求められる。絶縁膜上の金属製膜では、孤立した島状成長に始まり、厚膜化とともに連続膜に移行する形態変化がしばしば見られる。配線特性に大きく影響する製膜中の形態変化を光学的にその場計測するため、波動光学シミュレーションを用いて金属コバルトの成長形態と分光反射率との対応関係について評価した結果を紹介する。

共同著作者
霜垣 幸浩（東京大学 大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授）

磁気加熱を用いたがん治療のための磁場分布と加熱分布の最適化

磁性ナノ粒子と交流磁場を用いた低侵襲ながん治療システム開発に関して、交流磁場を発生するコイル形状の最適化および生体内での熱エネルギーの分布の評価は重要である。AC/DCモジュールと伝熱モジュールを用いた解析によって、がんの治療効果を向上できることを明らかとした。

COMSOL Multiphysics®を用いたHRTFの算出の自動化

本発表では、COMSOL Multiphysics®の音響モジュールを用いた、頭部3DスキャンデータからのHRTF算出について紹介する。特に、多人数データを処理するための、COMSOLのCLIツールを活用した作業の自動化・省力化法を詳しく解説する。
さらに、上記で得られた音響特性に基づくイヤホンの音色個人最適化についても紹介する。

共同著作者
濱﨑 公男（株式会社final）
Nao Tojo（株式会社final）
平井 陽大（株式会社final）
齋藤 峻（株式会社final）
細尾 満（株式会社final）

CO2からメタンを生成するメタネーション反応の再現と機械学習による反応パラメータの同定

CO2からメタンを生成するメタネーション反応を三反応モデルにより再現した。また、COMSOL Multiphysics®の最適化モジュール機能を用いて、この反応の解析に必要なパラメータ（化学反応速度パラメータなど）を同定した。

共同著作者
賀須井 直規（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）
中村 幸太郎（みずほリサーチ＆テクノロジーズ株式会社）

硫化物系固体電解質の硫化水素発生における数値計算

本研究では、硫化物系固体電解質の水分曝露時における硫化水素（H₂S）発生量を予測する数値モデルを構築し、高湿度条件と低湿度条件で実測データとの比較を実施した。結果として、数値計算と実測値の乖離が確認され、主に高湿度環境で差異が見られた。この原因として、硫化物系固体電解質は吸湿性を示すことから、固体電解質の分解挙動、界面反応、環境条件の影響が複合的に関与している可能性が示唆された。

ナノ多孔質薄膜と高分子電解質交互積層膜からなるイオン整流素子

ナノ流体イオンダイオードはバイオセンサやエネルギー変換材料開発の分野で注目を集めている。一方、生体膜で見られるような超薄膜領域において動作するイオンダイオードについては未開拓の領域となっている。本研究では、ブロック共重合体薄膜の光酸化により得られるSiO2薄膜と高分子電解質交互積層膜からなるハイブリッド積層体を用いた超薄膜イオンダイオード素子を報告する。

粘性下におけるDNAのポア通過ダイナミクス

タンパク質ベースのナノポアにおいてはシークエンス技術がすでに確立されている一方、半導体ベースのナノポアではDNAとの“強い相互作用”が詰まりを引き起こし、シークエンスの妨げとなっている。そのため、ナノポア近傍の物理的環境を理解することが重要である。本研究では粘性を付与した溶液中でDNAのポア通過をスローダウンさせ、有限要素法によるモデル化と比較することで、DNAとナノポアの相互作用機構の解明を目指している。

共同著作者
加藤 直樹（青山学院大学）
𠮷永 拓馬（青山学院大学）
三井 敏之（青山学院大学）

ソーラーウィンドウのための横方向散乱を示すセミシェル構造の設計

ソーラーウィンドウへの応用を目指し、光を横方向に散乱させるセミシェル構造を設計した。このナノ構造は、誘電体微小球に金属薄膜を被せたものである。入射光によって励起される双極子と四極子を制御し、垂直入射光を効率的に横方向へと散乱させることに成功した。

共同著作者
藤村 隆史（宇都宮大学）

屈折率制御を用いた深紫外AlN第二高調波発生デバイスの提案

小型で高効率な深紫外（DUV）レーザ光源は、産業、医療および学術分野からの強い要請にも関わらず、未だ実現していない。本研究では、上記光源の実現に向けた、低複屈折性常誘電体結晶を用いた線形・非線形擬似位相整合第二高調波発生（SHG）デバイスを提案する。本デバイスは、原子層レベルで屈折率を制御したモザイク構造を線形領域に導入することで、これまで未踏波だった小型、高効率なDUVレーザ光源を実現するものである。

共同著作者
南部 誠明（大阪大学）
吉村 政志（大阪大学）

路面の凹凸と接触するタイヤ表面の変形場解析

本研究では、COMSOL Multiphysics®を用いて、路面凹凸と接触するタイヤ表面の変形場解析を行った。
タイヤゴムを弾性体モデルで表現し、有限要素法により接触応力分布や局所変形挙動を詳細に解析した。
その結果、凹凸形状や荷重条件の違い、内部の剛性分布が接触面の圧力集中やせん断変形に与える影響を明らかにした。

共同著作者
前川 覚（名古屋工業大学 工学研究科 准教授）

固体接触と流体潤滑場の連成解析による工作機械しゅう動面モデリング

工作機械しゅう動面の往復運動を対象として、COMSOL Multiphysics®を用いて固体接触と流体潤滑場の連成解析を行った。特に、摩擦面の油溝の位置が、油膜厚さや動的安定性に及ぼす影響を定量的に評価した。今後は開発した非定常流体潤滑解析モデルを、他のトライボロジー要素に応用する予定である。

トルコと日本の建築物の強度

私たちはトルコと日本の建築物の強度、耐震性について基礎、筋交い、柱と梁の接合方法について分けて研究をしようと考えました。まず初めに日本の建築物について主にどのような構造が使われているのかを調べました。次にトルコの高校生や大学の建築学科の教授からの意見をもらい、トルコの建築物の優れた点を見つけました。私たちはCOMSOLを用いて建築物の構造にフォーカスした一部分を作り、いくつかの力に対する変形具合を確認しました。

共同著作者
金山 千夏（東京都立多摩科学技術高等学校）
木﨑 志織（東京都立多摩科学技術高等学校）

コブゴミムシダマシの殻の結合部の構造を用いた高強度材料の提案

私たちは生物模倣の技術を用いて研究を行おうと考えました。そこでコブゴミムシダマシという虫の殻がとても硬いということに注目しました。そのことを用いて丈夫な素材を製作しようと思いました。その際研究対象の虫の殻の構造に注目し、その虫の殻の構造を素材に組み込めば今ある素材より丈夫な素材が作れると考えました。私たちはCOMSOL を用いてクラウド上で設計とシミュレーションを行い、実際に作って検証を行いました。

共同著作者
山下 健斗（東京都立多摩科学技術高等学校）

超電導磁気軸受の浮上力特性の3次元数値解析

超電導磁気軸受（SMB）は一般的に高温超電導体バルクが含まれる固定子と永久磁石やその他の磁性体が含まれる回転子で構成される。ピン止め効果と呼ばれる超電導体特有の性質により、機械的に非接触であるため、低損失、長寿命、省メンテナンスであることが特徴として挙げられる。そのため、フライホイール電力貯蔵装置や極低温冷媒輸送ポンプ、人工衛星搭載用軸受などにSMBが用いられることが検討されている。本発表ではSMBの浮上力特性に注目し、3次元数値解析で計算した結果を示す。

時間反転対称性を破ったトポロジカルフォトニック結晶の設計

本研究では、磁気光学効果を利用して時間反転対称性を破るトポロジカルフォトニック結晶に注目しました。このようなシステムでは、一方向にしか進まないエッジ状態が実現でき、単方向導波路の作製に役立ちます。このシステムを設計するため、半導体フォトニック結晶とイットリウム鉄ガーネット（YIG）薄膜を組み合わせました。COMSOL Multiphysics® による数値シミュレーションで、この構造がトポロジカルバンドギャップと一方向性エッジ状態を生じることを示しました。

共同著作者
岩本 敏（東京大学 先端科学技術研究センター）

双指向性を有する4素子マイクロストリップ線路グランドスロットアレーアンテナの設計及び解析

トンネルでの設備のメンテナンスや工事を行う際に高速無線通信を利用するが、空間内に存在する遮蔽物の材質や位置等によって通信品質が劣化する。本稿では、トンネルの壁方向は避けて空間方向に放射することを目的とした双指向性を有するマイクロストリップ線路グランドスロットアレーアンテナをGHz帯において反射は-10dB以下であり、トンネル穴方向の利得は10.2dBiであった。

共同著作者
平野 拓一（東京都市大学）

スマートグラスへの展開を目的とした非エルミート構造の設計

東京農工大学工学部知能情報システム工学専攻特別授業において受講生が実施したCOMSOL Multiphysics®の課題、二点を紹介する。一つ目は非エルミート光学による近赤外光の一方向透過性について報告する。太陽光に含まれる近赤外光の一方向透過性を実現すれば、スマートウィンドウへの展開が期待できる。薄膜多層膜構造の前後入射時の透過性について計算を実施した、二つ目はメタマテリアル熱電デバイスのシミュレーション結果について報告する。

共同著作者
久保 若奈（東京農工大学 知能情報システム工学科 教授）

コラーゲン配向組織形成のためのマイクロ流体シミュレーション

配向したコラーゲン構造は、皮膚、骨、腱など様々なヒト組織において組織の機械的強度を維持する役割を担っている。例えば、皮膚真皮層は太いコラーゲン線維束が水平方向に配向した網状層と細いコラーゲン線維が垂直方向に配向した乳頭層で構成されている。本研究では、3Dプリントした流路に細胞懸濁コラーゲン前駆溶液を注入し、コラーゲン線維と細胞が配向した組織を作製する手法を開発した。発表では、3D流路のマイクロ流れ解析および作製した配向コラーゲン組織の結果について報告する。

共同著作者
飯島 瑞稀（横浜国立大学）
若林 保志（横浜国立大学）
大石 翔心（横浜国立大学）
宮島 浩樹（横浜国立大学）
向井 理（横浜国立大学）
飯島 一智（横浜国立大学）
丸尾 昭二（横浜国立大学）