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RC回路のベンチマーク
目的
RC回路におけるコンデンサ充電時の電流、電圧を求める
RC回路図

利用ソフトウェア
COMSOL Ver.5.6 ACDCモジュール
電気回路インターフェース
参考書 電磁気学 キャンパスゼミ 改訂1 マセマ出版社 (p.196) (2011)

電気回路各サブノート設定ウインドウにおいて、ノード接続セクションにて、ノード名を番号で設定します。同じ番号のノードは、直接接続することになります。左のように、各部品のノード接続を設定すると、下のような回路図が作成されます。

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孔あき平板の引張りのベンチマーク問題
斜面を滑る車輪付き台車の時間変位計算のベンチマーク
Newtonian Mechanics
目的
COMSOLによる常微分計算機能の検証
1)ニュートンの運動方程式の解析
2)解析解との比較

利用ソフトウェア
COMSOL Ver.5.6 基本モジュール
グローバルODE計算機能を利用
手段
斜面傾斜角を変更。
台車特性は固定し、変位に関する解析解との比較によって計算機能の検証を行う。
斜面傾斜角をθ として、台車の転がり摩擦係数を\(μ´\)とすると、
台車にかかる斜面方向加速度は次式となる。
\(𝑔^′\)=\(𝑔\)(\({\bf sin}\)𝜃−\(𝜇^′𝑐𝑜𝑠\)𝜃)
台車の斜面変位は初期位置0、初速度\(V_0\)として次式で決まる。
\(𝑋\)(\(𝑡\))=$\frac{1}{2}$ \(𝑔^′𝑡^2\)+\(𝑉_0𝑡\)


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1D軸対称熱伝導のベンチマーク
ボルツマン方程式に基づくICPモデル
ボルツマン方程式とプラズマ流体モデルの連成計算手法
低温プラズマは弱電離でかつ熱的に非平衡であり、それゆえに利用価値が高く、様々な産業に幅広く応用されている。プラズマ計算用の流体モデルは、プラズマを連続体(流体)とみなし、質量保存則を表す「連続の式」、運動量保存則を表す「運動方程式」、そしてエネルギー保存則を表す「エネルギー方程式」に基づいてシミュレーションを行う。また、運動方程式を解くのは、膨大な計算時間を要するため、かわりにドリフト-拡散モデル、輸送方程式を計算する。
流体モデルによる低温プラズマシミュレーションを行うにあたっては、電子やイオンの輸送係数および電離などの衝突反応を表す衝突レート係数を事前に用意する必要である。これら係数のうち、特に電子に関する各種係数では、ボルツマン方程式 (Boltzmann equation: BE) 解析やモンテカルロシミュレーションなどの方法で様々な換算電界下での電子輸送係数や衝突レート係数を事前に求めておき、これら値をデータテーブル化して流体モデルによるプラズマシミュレーションに使用する方法が一般的である1)。しかし、プラズマ放電においては、プラズマ密度などが時間によって変わる。事前に電子輸送係数や衝突レート係数を求める手法で得たデータは、放電中のプラズマと一致していない場合がある。
そこで本例題は図1に示すGEC型ICP (Inductively Coupled Plasma: ICP) 装置2)のプラズマモデルに基づいてボルツマン方程式が流体モデルと時間に依存する連成計算を行った。
本書ではモデルの作成および、2章以後に図2と図3の解析結果を得る手順を示す。

計算モデルは、電子、イオンと中性粒子の輸送、空間電荷場およびコイルによる誘導放電の磁場の計算方程式を連立して計算を行うが、紙数の都合でここではこれらの方程式の説明3)を省略する。電子輸送方程式におけるソース項には電子と分子や原子の衝突によって電子密度と電子エネルギーを変化することが含まれる。反応\(j\)の反応速度係数\(k_j\)は次の式で示される。
\(k_j\)=\(γ\)\(\int ^{\infty }_{0}\)\(εσ_j(ε)f(ε)dε\),\(γ\)=(\(2q/m\))
ここで、\(ε\)は電子エネルギー、\(σ_j(ε)\)は衝突断面積、\(f(ε)\)は電子エネルギー分布関数 (EEDF)、\(q\)は素電荷、\(m\)は電子質量である。考慮した化学種および化学反応は表1に示されている4)。

ボルツマン方程式は、電子集団を位相空間内の連続体(流体)と見て電子分布関数の時間変化を表現したものである。ここでは、電子エネルギー分布(Electron Energy Distribution Function: EEDF)や電子輸送係数を求めることを指して、2項展開近似を用いる手法を採用し、次のような方程式となる5)。
$\frac{∂}{∂ε}$(\(Wf\)-\(D\)$\frac{∂f}{∂ε}$)=\(S\)
ここで、\(f\)はEEDF (eV-3/2)である。\(S\)はソース項であり、係数\(W\)と\(D\)の計算式は以下のように定義される。
\(W\)=-\(γε^2σ_ε\)-3\(a\)($\frac{n_e}{N_n}$)\(A_1\)
\(D\)=$\frac{γ}{3}$($\frac{E}{N_n}$)2($\frac{ε}{σ_m}$)+$\frac{γk_bT}{q}$\(ε^2σ_ε\)+2\(a\)($\frac{n_e}{N_n}$)(\(A_2\)+\(ε^{3/2}A_3\))
変数とその係数の扱いの詳細は例えば文献5)を参照されたい。
計算条件として、圧力は10mTorr,ICP供給パワーは159Wと245W,rf周波数は13.56MHz、温度は300Kである。245Wの供給パワーに基づくプラズマ密度を図2に示す。マクスウェル分布であるEEDFを採用した計算結果も示される。

ボルツマン方程式と流体モデルの連成計算によって得たプラズマ分布はマクスウェル分布であるEEDFに基づいた計算結果に比べて、放電中心に集中し、電子密度の最大値は3倍以上高くあった。ボルツマン方程式との連成計算を採用して得た電子密度はMillerら2)が提示した実測値と比較し、図3に示された。EEDFをマクスウェル分布からボルツマン分布に切り替えることで、電子密度分布の計算値は実測値と大体一致することが分かった。

参考文献
1)菅原広剛,志村尚彦,シミュレーションの諸技法:電子エネルギー分布・速度分布計算法1:ボルツマン方程式解析,放電・プラズマ気相シミュレーション技法調査専門委員会編,電気学会技術報告第1488号,pp. 4-7, 2020.
2)Miller, P.A., Hebner, G.A., Greenberg, K.E., Pochan, P.D., Aragon, B.P., An Inductively Coupled Plasma Source for the Gaseous Electronics Conference RF Reference Cell, J. Res. Natl. Inst. Stand. Technol., Vol.100, No.4, pp. 427-439, 1995.
3)放電・プラズマ気相シミュレーション技法調査専門委員会編,「放電・プラズマ気相シミュレーション技法:佟立柱,竹内希,3.3 COMSOL Multiphysics®を用いた非熱プラズマと熱プラズマの計算」,電気学会技術報告第1488号,pp. 70-74, 2020.
4)Lymberopoulos, D.P., Economou, D.J., Fluid Simulations of Glow Discharge& Effect of Metastable Atoms in Argon, J. Appl. Phys., Vol.73, No.8, pp.3668-3679, 1993.
5)Hagelaar, G.J.M., Pitchford, L.C.,Solving the Boltzmann Equation to Obtain Electron Transport Coefficients and Rate Coefficients for Fluid Models, Plasma Sources Sci. Technol., Vol.14, No.4, pp.722–733, 2005.
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