大気圧プラズマ反応工学ハンドブック
反応過程の基礎とシミュレーションの実際
◎ 環境、エネルギー、材料合成、バイオ・医療など幅広い分野に応用可能な大気圧(非平衡)プラズマの電離反応と化学反応を総合的かつ詳細に紹介。
◎ 大気圧プラズマ特有の反応系を探るヒントと手段をまとめ、次のイノベーションに活かせる1冊。
◎ [第2編プラズマ反応シミュレーションの実際]ではCOMSOL Multiphysics®を用いたシミュレーションの実例(Ver4.x)を紹介。
第2章 COMSOL及びBOLSIGによるシミュレーション
1. 有限要素法によるプラズマシミュレーション
※1.1 大気圧非平衡プラズマシミュレーション より抜粋
大気圧非平衡プラズマのシミュレーションでは、プラズマによる活性種の生成・消滅反応過程やプラズマと流体の相互作用の理解においては、数値計算が有効なツールとなる。大気圧程度の圧力となると、Particle-in-cell(PIC)法とMonte Carlo Collision(MCC)法の適用は困難となる。そこで、電子やイオンの集団をそれぞれ連続な流体として扱う、ドリフトー拡散モデルが用いられる。ドリフトー拡散モデルは、荷電粒子の流体モデルであり、電子とイオンのそれぞれについて、連続の式とポアソン方程式を連立して解くことにより、荷電粒子の密度やフラックス、電位・電界分布などを求めることができる。
連続の式やポアソン方程式は、時間及び位置に関する偏微分方程式で表される。通常、これらを解析的に解くことはできないため、コンピュータを用いた数値計算により、近似解を求めることになる。本稿では、有限要素法と呼ばれる計算手法を用いた、大気圧非平衡プラズマシミュレーションの実例を紹介する。