計測エンジニアリングシステム株式会社

PRODUCT SMART UQ

実験計画法(Design of Experiments: DOE)

SmartUQは、空間充填型や要因計画法のような従来の実験計画法(DOE)に加え、複雑な課題に対応するいくつかの独自の特許出願中のDOEを提供します。実験計画に関しては、2つの主な懸念事項があることを理解しています。それは、サンプリングされるシステムを正確に表現するために十分なデータを取得すること、およびサンプル数を減らしてコストをコントロールすることでしょう。

当社の最先端のDOEは、必要なポイント数を減らしながら、少数でも質の高い十分なサンプリングを保証します。当社独自のDOEはさらに進んで、以前にサンプリングされたポイントからの情報を使用して、次のサンプルを取得する場所を決定し、精度向上に必要なデータを提供します。ビックデータのような大規模な観測データセットからサブサンプリングすることで、少数の代表データを抜き出すこともできます。さらに、SmartUQの柔軟なDOE生成ツールを使用すると、制約条件付きDOEやデータ駆動型の実験計画法(ベイズ推定を用いた適応的DOE)といった特定のニーズに合わせてサンプリングを調整できます。

1つ確かなことは、DOEを設計するためにSmartUQソフトウェアを選択すると、実行回数が大幅に減り、より正確で包括的な結果が得られるため、時間と費用の両方を節約できます。

実験計画法(DOE)とは

実験計画法(DOE)とは、入力と出力の間の原因と結果の関係を明らかにするための実験を行う際に使用される体系的なサンプリングパターンです。適切な実験から十分な情報を収集するためのDOEがなければ、テストの目的を達成することが困難または不可能になる可能性があります。実験者やシミュレーションユーザーの直感に頼ったサンプリングパターンを使ってシミュレーションやテスト実験を行うと、入力がどのように相互作用するのかが理解できず、テストリソースの無駄遣いや機会損失につながる可能性があります。

このような問題を解決するには、複数の要因を同時に変化させる多因子を考慮した実験計画法を用いることが有効です。個々の要因の影響だけでなく、様々な要因のペアや組み合わせがどのように相互作用して出力値を変化させるかを評価することが重要です。

空間充填型のDOE

要因計画法のようなDOEは強力な情報収集能力を備えていますが、非線形性の高いシステムの原因と結果の関係を判断するためには、必要以上のサンプルを多額の費用をかけて収集する必要があることがよくあります。最新の空間充填型のDOEは、非線形性の高い応答を伴うシミュレーションや複雑な物理実験において、最も効率的なDOEであることが多いです。

ラテン超方格法や最適化ラテン超方格法などの空間充填型DOEでは、一連の代表的な入力設定を均等に分散してサンプリングし、設計空間を充填します。このタイプのDOEでは,シミュレーションの回数を最小限に抑えながら,各シミュレーションから得られる潜在的な学習効果を最大限に高めることができるという研究結果が出ています.このように、空間充填型DOEは、サンプリングポイントの総数を減らしながら、高い精度を実現します。

シーケンシャルおよびマルチフィデリティDOE

シーケンシャル型のDOEでは、複数のDOEを使用し、それぞれのDOEが前回のサンプリングパターンのギャップを埋めるように最適化されています。このプロセスを繰り返すことで、エミュレータの精度を高めることができます。また、希望の精度を得るために必要なシミュレーションのみを実行することで、総シミュレーション時間を最小限に抑えることができます。このDOEは、Multi-Fidelity(マルチフィデリティ)シミュレーションを組み合わせるための新しいオプションも提供します。低忠実度のシミュレーションは、エミュレータを生成し、設計空間を素早く探索するために使用できます。精度を確保するために、高忠実度シミュレーションのより少ないサンプルを使ってエミュレータをキャリブレーションすることができます。また、このDOEを利用して戦略的にシミュレーションを実行し、計算機資源が利用可能になった時点でエミュレータの精度を高めることも可能です。

シーケンシャルDOE

この例では、最初に4点のDOEが生成されます。続いて、2番目の4点DOE、3番目の8点DOEが生成され、最初のDOEの分解能を順次高めていきます。

並列タイプの空間充填型DOE

並列DOEでは、サンプリングポイントを別々の並列バッチ(スライス)に分割します。これは、連続的な入力と離散的な入力が混在している場合に特に有効で、各バッチで入力セットを扱うことができます。また、各バッチをより小さな並列DOEで構成することで、複数の離散的な入力に対応することも可能です。
これらのDOEは、計算や実験の作業を複数のグループに分割する際にも有効です。CAEシミュレーションでは、最初から適切な学習数が分からないケースも多いでしょう。実験全体の計算負荷をより大きなグループのコンピュータデバイスに並列処理したり、最適な少数の学習セットで都度モデル構築ができるので、全ての学習セットが終わる前に検証や最適化を行うことができます。逐次的な学習が可能になるので効率的に解析を行うことができます。

並列DOE

この例では、2つの連続入力と4つのレベルを持つ1つの離散入力を扱うのに適した、最適な2次元、20ポイント、4バッチのDOEを示しています。バッチ毎にモデルを構築して、精度が出ない場合は次のバッチに進むことができるということです。

二重の並列型DOE

この例では、2つの連続した入力と、それぞれ3レベルの2つの離散的な入力を扱うのに適した、2次元、36点、2重並列のDOEを示しています。使用例としては(ねじの種類に加え個々の種類のねじに対して異なるロットのカテゴリもあるといったケース)

適応型DOE

適応型DOEでは、エミュレータの作成に使用したDOEに適応的にポイントを追加することで、フィットしたエミュレータ(サロゲートモデル、メタモデル)の精度を高めることができます。このプロセスでは、既存のDOEと関連する結果データで構築済のエミュレータを用います。次に、このエミュレータの出力値を用いて、エミュレータの精度を高めるために、ベイズ推定する形で次のシミュレーションサンプル(入力点)をどこに追加すべきかを判断します。このプロセスは、望ましいレベルのフィッティング精度が得られるまで繰り返すことができます。 つまり既存の入出力データセットから、より良い最小の追加学習点を用いて、信頼性解析などより高度な解析を行うことができます。

以下にいくつかの難しい特徴を持つ応答曲面を、1度で済ます最適ラテン超方格法DOEと適応型DOEの2つの手法を用いたアルゴリズムでエミュレートした例を紹介します。

応答曲面

一度に行った最適ラテン超方格法(LHD)

下の応答曲面は、当社独自の適応型DOE結果です。SmartUQの適応型DOEの機能は、最初に20ポイントの最適なLHDを設定した後、設計空間に5ポイントを1つずつ追加していきました。各ポイントは、前回のエミュレータに基づいて当社のアルゴリズムが選択した設計空間の特定の領域を対象としています。このアプローチにより、同じ数のシミュレーションを実行しながらも、誤差を1桁減らすことができ、より正確なモデルを得ることができました。

適応型DOEの結果

補強型DOE(Design Augmentation)

補強型DOE(Design Augmentation)では、既存のDOEと組み合わせてDOEを生成し、新しいポイントが組み合わせたDOEの空間充填の特性を最大化することができます。実際には、大規模なDOEに必要なすべての設計点を1回のシミュレーションで実行することは望ましくない、または実行不可能な場合があります。また、以前の設計空間の調査、最適化手順、製品開発サイクルなどで作成した既存のDOEがあることもよくあります。これらのDOEは、空間を埋めるのに適していないかもしれませんが、貴重な情報を含んでいます。設計空間の拡張は、過去に収集したデータを活用しつつ、一定回数の新規シミュレーション実行から得られる情報を最大化するために必要な、最適なシミュレーション実行を決定するのに有効です。
補強型DOEは適応型DOEとは異なります。補強型DOEでは、既存のDOE自体の特性に基づいて、最適なポイントが生成されます。そのため、新しいポイントはシミュレーション結果からは見えません。適応型DOEでは、最適なポイントは、DOEの特性だけでなく、以前のシミュレーション結果を用いて作成されたエミュレーターに基づいて生成されます。補強型DOEは適応型DOEよりもロバスト性に優れていますが、これは適応型DOEがモデルフリーであり、任意の数のレスポンスを持つシミュレーションに対応しているためです。補強型DOEと適応型DOEはどちらも有用な補完ツールであり、ユーザーは研究対象となる特定のケースの特性に基づいてこれらの2つのオプションを決定する必要があります。

補強されたDOE

この例では、品質の低い初期のDOEを補強して、設計空間全体をカバーするDOEを作成しています。

スパースグリッド

この例では、シミュレーションの収束に失敗したためにデータが欠落したスパースグリッドを補強し、DOEの空間充填特性を向上させています。この機能は、データが欠けているために多項式カオスに基づく不確かさの解析が行えない場合に特に有効です。

データサンプリング技術

DOEは通常、システムから新しいデータを収集するために使用されます。多くの場合、十分なデータがすでに揃っています。このようなシナリオでは、収集されたデータが長期間にわたって蓄積されており、解析が困難なほど十分なデータがあることがよくあります。例えば、現場で使用されている部品のセンサーからのヘルスモニタリングデータは、その部品の動作寿命全体にわたって継続的にライブ・データを取得している場合があります。SmartUQのデータサンプリングツールは、データを分割し、全データセットのサブセットで構成される空間充填DOEを模倣することができます。データ収集前に作成されるDOEとは異なり、サブサンプリングやスライスサンプリングなどのデータ・サンプリングでは、既存の入出力データペアを使用して、設計空間をうまく表現(代表)するポイントを探索します。

→ データサンプリング